心に浮かぶこと

日々の生活で心に浮かぶことの整理、そして子どもに残したいメッセージ

【読書】『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』安田祐輔

1983年横浜生まれの安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)さんの著書。安田さんは発達障害によるいじめ、一家離散、暴走族のパシリ生活などを経て、偏差値30から国際基督教大学ICU教養学部国際関係学科入学。大学卒業後、大手商社へ入社するも発達障害の影響でうつ・ひきこもりに。

 

2011年に「キズキ共育塾」開塾。多くの講師が挫折経験をもち、生徒の心に寄り添う指導が評判を呼び、全国から様々な理由で学校に行けない若者やその親から問い合わせが殺到、多くのメディアに取り上げられる。この本は、生きづらさを抱えながらも、困難を乗り越え、社会問題解決のビジネスモデル――輝く場所――をつくった起業家の実話です。

暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由

暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由

 

 目次

  • 第一章 発達障害・家庭崩壊〜12歳で家を出る
  • 第二章 地獄からの脱出計画〜偏差値30から一流大学へ
  • 第三章 生まれかわる戦略〜暗闇でも走る
  • 第四章 僕はどう生きる?〜大学生活で見つけた使命
  • 第五章 大企業へ入社したが〜うつ病発症、一年のひきこもり
  • 第六章 不登校・中退者の塾の立ち上げ〜自分だからできること
  • 第七章 人生はやりなおせる〜道を拓く子どもたち
  • 第八章 僕のこれから〜世界を変える決意

印象に残った内容

安田さんがこれまで歩んできた道のりも印象に残ったが、以下の言葉が特に印象的であった。

 

不登校・中退者・ひきこもりの若者たちに必要なのは、物語を紡ぐことだと思うんです」人は物語を生きる存在てあるということだった。「あの時に◯◯という出来事があったから、今の自分はある。そういう一つひとつの出来事を物語のように解釈しながら、人間は生きている。

 

確かに不登校やひきこもりの子たちに必要なことは、そういった「物語」だ。-苦しい経験があったけれども、そのおかげで今がある。そう思える日が、きっと来る。

 

物事には必ずネガティブとポジティブの両面がある。どんなにその時ネガティブと思えることであっても、後から「あの時の◯◯があったから今がある」と思えるようになる。ネガティブを感じたら、「今ネガティブを感じている自分」に気づく。後から必ずポジティブもやってくる。

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どん底の状態からやりなおすために必要なことは、「考え方をずらしてみる」ことだ。どん底の状態の時は、「何をやってもうまく行かない」と思いがちだ。そのせいで、努力さえできなくなってしまう。だから「こうじゃなきゃいけない」という思い込みを外して、少し「ずらして」考えることが必要だ。そうすることで別の生き方が見えてくる。心理学的に言えば、少し難しい言葉になるが、「認知の歪み」を改善させるということだ。

 

現代社会において、「こうしなければならない」なんてことは、ほとんどない。「学校」という仕組みも、「会社」という仕組みも、誰かがつくり出したものに過ぎない。だから、その仕組みになじめなくてもがいているのであれば、そこから逃げ出して新しい道を探しても良いはずだ。

 

特に「学校」というのは不条理な仕組みになりうると僕は思っている。例えば「仕事」であれば、就職先は自分で選べるし、転職も認められている。けれども「学校」になると、普通に公立小中に通う限り、住んでいる場所に合わせて学校がある程度決められてくるし、転校もなかなかできない。先生方はとても頑張っているけれど、全員に合う教育をするのはとても難しい。だから、学校が合わなくたって、絶望しなくて良い。今どん底で苦しんでいるのなら、まずは「こうしなければならない」という思い込みを捨ててみてほしい。それが、やりなおすために一番大切なことだ。

 

 

自分でも気づかずに「そうだと思い込んでいること」というのは案外あるものだ。無意識のうちに諦めてしまっていることを思い出す。他人に対する「こうじゃなきゃいけない」という思い込みをやめる。そうすることで、自分自身がはまっている「こうじゃなきゃいけない」という思い込みからも自由になれる。

 

少し話がずれるが、私は家を買いたいと思ったことが無い。基本的にずっと賃貸の方が良いと思っている。それは、住んでいる家の場所がここだからという理由で、不条理な世界から抜け出せないということになりたくないからだ。家を買ってしまうと借りているように自由には動きにくくなる(実際には動けない訳ではなく、動くのをためらうようになる、というだけかもしれない。本当に動けないなどということは決してないのだ。)。自分の仕事や子供の学校が、住んでいる家の場所に縛られることはしたくない。賃貸で機動的に動けるようにする。必要あらば、日本以外の場所に移り住んでも良い。

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人生をやるなおすために必要なことは、「変えられるもの」だけに注目するということだ。例えば僕の場合、発達障害があること、温かい家庭に生まれなかったということ、早起きが苦手なこと、人とのコミュニケーションが苦手だということ……そういうものは変えられない。誰しも人間は生まれ持った条件の中で生きなければならない。そしてそれらは「変えられない」こともある。生まれつき恵まれた人たちを見ていて悔しくなる時もあるけれども、他人と比較しても意味はない。

 

他人を変えようとするのではなく、自分が変わる。他人にやってもらうことに力を注ぐのではなく、自分がやる。

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 私自身が引きこもって学校にほとんど行っていなかった時期があり 、この本は非常に興味深く読ませて頂いた。自分も、既存の制度の中でなかなか上手くやっていけないことに苦しんでいる人達の力になるようなことをやりたいと思った。